貨物自動車運送事業法改正とは?最新ポイントと運送業への影響・対策を徹底解説

貨物自動車運送事業法が、2024年5月15日に改正・公布され、2025年4月1日から段階的に施行されています。この改正は、物流の「2024年問題」への対応と、軽トラック運送業における事故増加への対策を主な目的として制定されたものです。

改正の内容は、荷主・元請事業者に対する規制強化、運送契約の適正化、軽貨物事業者への新たな安全管理義務など多岐にわたります。違反した場合には行政指導や事業停止などの処分を受けるリスクもあるため、軽貨物ドライバーから運送会社経営者、これから開業を検討している方まで、今すぐ内容を把握しておく必要があります。

本記事では、改正の背景・要点・施行スケジュール・実務対応のポイントを網羅的に解説します。違反リスクを避け、適切に対応するための情報をわかりやすくまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

  

目次

貨物自動車運送事業法改正の要点を整理!

今回の改正は、荷主・元請事業者・軽貨物事業者のそれぞれに対して、これまでにない規制と義務を課す内容となっています。改正の全体像をつかむために、主要なポイントを順番に確認していきましょう。

荷主・元請への規制強化

今回の改正では、荷主および元請事業者に対する規制が大幅に強化されました。これまでトラック運送事業者側だけに求められていた対応が、荷主や元請にも広がったことが最大の特徴です。

具体的には、元請事業者に対し、真荷主から引き受けた貨物について「実運送体制管理簿」の作成と1年間の保存が義務付けられました。管理簿には実運送を担う事業者の商号・貨物の内容と区間・請負階層(何次請けか)を記載する必要があります。

また、下請け構造を二次請けまでに制限するための措置を講じる努力義務も課されており、多重下請け構造の是正が本格的に求められるようになりました。

運送契約の適正化措置

荷主・トラック事業者・利用運送事業者の全員に対し、運送契約の締結時に書面を交付することが義務付けられました。この書面には、提供する役務の内容・附帯業務料・燃料サーチャージなどの対価が明記されなければなりません。

これにより、口頭だけで済ませていた取引慣行が一掃され、運賃・料金の透明性が法律上も担保されることになります。書面交付の義務化は、ドライバーの適正な賃金確保にもつながる重要な改正点であり、既存の取引関係を見直すきっかけとなるでしょう。

軽貨物事業者への影響

「自分は小さな個人事業主だから関係ない」と思っているドライバーほど、今回の改正を見落としがちです。軽貨物事業者(貨物軽自動車運送事業者)も改正の対象に明確に含まれており、実務上の変化は想像以上に大きくなります。

まず最も直接的な変化として、これまで任意だった安全管理体制の整備が義務化されます。一人で事業を営む場合でも、自ら「貨物軽自動車安全管理者」として講習を受講し、業務記録・事故記録を3年間保存しなければなりません。

加えて、委託元との契約内容を書面で明確にする義務も生じるため、これまで口頭で済ませていた取引条件を文書化する作業が避けられなくなります。「忙しくて書類仕事まで手が回らない」という個人ドライバーにこそ、早めの準備が求められます

荷主・元請に課される努力義務の内容

今回の改正では、元請事業者に対していくつかの努力義務が明文化されました。代表的なものとして、

  • 下請け構造を二次請け(実運送は三次請け)までに制限するための措置を講じること
  • 実運送事業者の健全な経営確保のために荷主への交渉を申し出ること
  • 無許可業者への委託を行わないよう確認すること

の3点が挙げられます。努力義務とは、法律上「〜するよう努めなければならない」と定められた事項で、直接の罰則はない一方、行政指導や実態調査の対象となり得るものです。将来的に義務化される例も多く、取引条件や信用に影響しやすいため、「実務上は対応しておくべき事項」として位置付けるのが現実的です。

行政による監督強化

改正後は、国による監督・指導体制も大幅に強化されます。荷主や物流事業者に対し、国が定める判断基準に基づいて指導・助言・調査・公表が実施されることになりました。特定規模以上の事業者は中長期計画の作成と定期報告が義務となり、進捗が不十分な場合は勧告や命令が下される仕組みです。

さらに、2023年に発足した「トラックGメン(貨物自動車運送適正化推進員)」による荷主への是正指導が引き続き強化されています。法改正と行政の監視体制強化が同時に進む中、コンプライアンス対応を後回しにすることは非常にリスクが高いといえます。

  

貨物自動車運送事業法改正の背景は?

今回の法改正は、突然生まれたものではありません。物流業界が長年抱えてきた構造的な課題が積み重なり、法整備が不可欠な状況になったことが発端です。

改正の背景を理解するうえで、物流業界の2025年問題が示す長期的なドライバーの担い手不足という観点も合わせて把握しておくと、なぜ今この法改正が必要とされているのか、全体像がつかみやすくなるでしょう。

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ドライバー不足と長時間労働問題

物流業界では慢性的なドライバー不足が続いており、その背景には長時間労働や低賃金の問題があります。2024年4月から自動車運転業務に時間外労働の年間960時間上限が適用されたことで、ドライバー一人あたりの稼働時間が大幅に制限されました。

労働時間が短縮される一方で輸送需要は増加の一途をたどっており、対策を講じなければ2030年には輸送能力が現状比34%低下するとの試算もあります。こうした危機感が、今回の法改正を後押しする大きな力になりました。ドライバーが持続的に働ける環境をつくるためにも、業界全体での商慣行の見直しが急務となっています。

多重下請け構造の是正

トラック運送業は、元請・二次請け・三次請けと複数の事業者が介在する多重下請け構造が広く根付いています。この構造の中では、荷主から支払われる運賃が中間業者を経由するたびに目減りし、実際に配送を担う末端のドライバーが適正な対価を受け取れないという問題が生じます。

法改正では、この構造を可視化・是正するために実運送体制管理簿の作成義務化と、下請け段階を二次請けまでに抑える努力義務が導入されました。下請け構造の多層化を防ぐことで、運賃の公正な分配と業界全体の健全化を図っています。

物流2024年問題との関係

今回の法改正は、物流の2024年問題への直接的な対応として制定されたものです。。2024年問題とは、2018年成立(2019年4月施行)の働き方改革関連法により、2024年4月からトラックドライバーの年間時間外労働が960時間を上限として制限されたことで生じる輸送能力の低下を指します。

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これまで長時間労働によって支えられていた物流の現場では、稼働時間の短縮がそのまま運べる荷物量の減少につながるため、業界全体で輸送能力の不足が深刻化しています。時間外労働の上限規制だけを単独で実施しても、多重下請け構造の中で運賃を叩き合う商慣行が続けば、ドライバーの収入は改善されず、業界への新規参入も増えません。

そこで政府は貨物自動車運送事業法の改正を通じて、運賃の適正化・下請け構造の透明化・書面交付による契約の明確化をセットで進めることにしました。労働時間規制と法改正の両輪によって、ドライバーが適正な対価を受け取りながら持続的に働ける環境づくりを目指しているのが、今回の改正の本質です。

 貨物自動車運送事業法改正はいつから施行される?

法改正の内容を理解したうえで、次に押さえておきたいのが施行のタイミングです。改正は一括施行ではなく、段階的に実施されている点に注意が必要です。

改正の公布時期

今回の改正法(令和6年法律第23号)は、2024年4月26日に国会で可決・成立し、同年5月15日に公布されました。正式な法律名は「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」です。

あわせて、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(流通業務総合効率化法)」は「物資の流通の効率化に関する法律(物資流通効率化法)」へと名称が変更されました。2024年問題への対応と軽トラック運送業の安全強化という2つの課題を同時に解決するための法整備として制定されており、その影響範囲は運送業界全体に及んでいます。

施行スケジュール

施行は段階的に進められており、2025年4月1日に第一弾として運送契約の書面交付義務・実運送体制管理簿の作成義務(一般貨物運送事業者の元請け対象)・軽貨物安全管理者の選任義務などが施行済みです。

続いて2026年6月までに、実運送体制管理簿の義務拡大(利用運送事業者・軽貨物元請けにも適用)・二次請け制限の努力義務・無許可業者への委託禁止が施行される予定となっています。

こうした段階的な施行の背景には、多重下請けが生み出す3つの不利益があります。第一に運賃面では、請負階層を経るたびに中間手数料が差し引かれ、末端ドライバーの手取りが激減するという問題があります。

第二に品質面では、責任の所在が不明確になりやすく、荷物の破損や遅延が発生しても誰が対応すべきかわからなくなるケースが生じます。第三に責任面では、事故や労働基準違反が起きても元請けが下請けに責任を押し付けやすい構造が温存されてきました。

法改正はこの3つの問題を一体的に解消することを狙っており、2028年6月までには適正原価に基づく運賃規制・事業許可の5年更新制・ドライバー処遇の義務化と、より踏み込んだ制度改正が予定されています。

経過措置の有無

軽貨物事業者向けの安全管理義務には、一部の経過措置が設けられています。貨物軽自動車安全管理者の選任・届出については施行後2年(2027年3月31日まで)、初任運転者・高齢ドライバー・事故惹起者への特別指導と適性診断の実施については施行後3年(2028年3月31日まで)の猶予が認められています。

この経過措置の期間は、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制とも連動して理解する必要があります。上限規制の施行から間もない事業者にとっては、労務管理・記録管理・安全管理をいっぺんに整備することが難しいケースがあるため、猶予期間が設けられた経緯があります。

ただし、経過措置はあくまで「まだ完全適用しなくてよい」期間であって、「対応しなくてよい」ものではありません。2027年・2028年の期限を見据えて今から準備を進めておくことが、結果として最も負担の少ない対応策です。

 実運送体制管理簿の義務拡大とは?

改正の中でも特に実務への影響が大きいのが、「実運送体制管理簿」の作成義務に関する規定です。その内容と対象範囲を正確に把握しておきましょう。

対象事業者の範囲

2025年4月施行の段階では、荷主から貨物を受託して利用運送を行う最上位の一般貨物自動車運送事業者(元請け事業者)が作成義務の対象です。引き受けた貨物を全て自社で実運送する場合は、作成は不要とされています。

2025年6月に成立した追加改正により、2026年6月以降は対象範囲がさらに拡大されます。具体的には、貨物軽自動車運送事業者・特定貨物自動車運送事業者・第一種および第二種貨物利用運送事業者の元請け事業者にも作成義務が準用されることになりました。また、実重量が1.5トン未満の混載便については作成対象外となっており、判断基準は運送依頼があった時点の重量で行います。

荷主による閲覧請求のポイント

実運送体制管理簿は作成・保存だけでなく、真荷主が元請け事業者に対して閲覧・謄写を請求できる権利が明文化されたことも、今回の改正における重要な変化です。荷主が自社の荷物を何次請けで誰が運んでいるかを把握できる仕組みが整備されたことで、下請け構造の透明化がより実効性のあるものになりました。

この閲覧請求制度と連動して押さえておきたいのが2026年・2028年という2つの重要な節目です。2026年6月までに実運送体制管理簿の作成義務が拡大し、利用運送事業者・軽貨物元請け・特定貨物事業者にも適用対象が広がります。荷主が閲覧できる管理簿の範囲も自然と広がるため、元請け各社は自社の下請け構造を今から整理しておく必要があります。

さらに2028年6月までには適正原価告示・許可の5年更新制・ドライバー処遇義務化が施行される予定であり、この年が改正内容の最終完成形となります。2026年と2028年の2つの期限を軸に、自社がどの義務の対象になるかをカレンダーで管理しながら対応を進めることが賢明です。

実務対応で注意すべき点

実運送体制管理簿に決まった様式はなく、各事業者が取り組みやすい形式で作成することができます。既存の配車表を活用するなど、現場の実態に即した方法でも問題ありませんが、必要事項(実運送事業者の商号・貨物の内容と区間・請負階層)が漏れなく記載されていることが条件です。

管理簿は電磁的記録(デジタルデータ)での作成・保存も認められており、システム化による効率的な管理が推奨されます。下請け事業者から情報を収集する仕組みを社内で整備し、記録漏れが生じないよう運用体制を確立することが、実務上の最大の課題といえます。

 軽貨物・個人事業主への影響を解説!

軽貨物ドライバーや個人事業主にとって、今回の法改正は決して他人事ではありません。直接的な義務が新設されており、早急な対応が求められています

業務委託契約の見直し必要性

軽貨物事業者が委託元から業務を受ける際の契約内容にも、今回の改正が影響を及ぼします。運送契約の締結時に書面交付が義務付けられたことで、附帯業務料や各種手数料を含む報酬の内訳を契約書に明記しなければならなくなりました。

これまで口頭や曖昧な取り決めで処理されていた業務条件を、契約書として文書化する流れが加速します。個人事業主の立場からすれば、報酬の透明性が高まる恩恵がある一方で、既存の委託元との契約内容を改めて精査し、必要に応じて見直し交渉を行う場面も出てくるでしょう。

運賃交渉環境の変化

法改正に伴い、運賃・料金に関する交渉環境も変化しつつあります。2025年6月成立の追加改正では、国土交通大臣が事業運営に必要な費用を「適正原価」として定め、一般貨物自動車運送事業者はその水準を下回る運賃を受託できなくなる規定が盛り込まれました(2028年6月までに施行予定)。

この流れは、長年続いてきた運賃の叩き合いや不当廉売に歯止めをかける方向に働きます。軽貨物ドライバーが元請け事業者と交渉する際にも、適正な運賃水準を主張しやすい環境が整いつつある点は前向きに受け止めるべき変化でしょう。

コンプライアンス対応の重要性

「うちは小さな事業者だから、大手と同じ基準は求められないだろう」という思い込みは危険です。今回の改正では、事業規模にかかわらず軽貨物事業者を含む全ての運送事業者に対して安全管理義務・記録保存義務・事故報告義務が課されており、個人事業主であっても例外ではありません。

小規模事業者だからこそ、体制整備が後回しになりがちで、違反リスクが高くなりやすい側面があります。重大事故が発生した場合に報告義務を果たしていなければ行政指導の対象となるだけでなく、事故情報が公表されることで取引継続の判断に直結し、経営自体に影響を及ぼす可能性があります。

荷主企業のコンプライアンス管理が厳格化されている今、法令を遵守していない事業者は取引先リストから外されるリスクが現実のものとなっています。小さな規模だからこそ一件の信用失墜が経営全体に直結するため、コンプライアンス対応は最優先の経営課題として位置付けることが求められます。

  

 運送会社が今すぐやるべき対応策は?

改正の内容を理解したら、次は具体的な実務対応に移ることが重要です。特に運送会社の経営者・管理者が優先的に取り組むべき事項を整理します。

契約書・運賃体系の点検

まず取り組むべきは、既存の取引先との運送契約が改正法の要件を満たしているかどうかの確認です。運送契約の締結時には、役務の内容・附帯業務料・燃料サーチャージを含む対価の明細を記した書面を交付しなければなりません。

書面交付の義務に対応していない場合は、順次契約書の様式を整備する必要があります。国土交通省や全日本トラック協会が公開している運送申込書・運送引受書のひな形を参考にしながら、自社の取引実態に合った書式を整えることが現実的な対応策です。

運行管理体制の整備

軽貨物事業者を含む運送会社全般において、安全管理体制の見直しも急務となっています。貨物軽自動車安全管理者の選任・届出に加え、運転者に対する年次の指導・監督記録(日時・場所・内容・担当者)を3年間保存する義務も生じました。

また、事故が発生した場合は事故記録を3年間保存し、重大事故については30日以内に運輸支局等へ報告する手続きが必要です。こうした記録管理を手作業で行うことには限界があるため、運送管理システムや専用ソフトウェアを活用した効率的な体制構築が強く推奨されます。

社内教育と記録管理

法改正の内容を経営者だけが知っていても、現場に浸透しなければ実効性がありません。ドライバーや配車担当者を含む全スタッフへの周知・教育を実施し、新しい記録管理のルールを日常業務に定着させることが大切です。

具体的には、実運送体制管理簿の作成手順・書面交付のタイミング・事故発生時の報告フローなどをマニュアル化して共有することが有効です。社内教育の実施記録も保管しておくことで、行政調査が入った際にコンプライアンスへの取り組みを示す証拠となります。

 違反した場合のリスクと罰則!

法改正の義務を守らなかった場合、どのようなリスクが生じるのかを正確に理解しておくことは、経営判断としても重要です。

行政指導・改善命令

改正法に基づく義務に違反した場合、まずは国土交通省による行政指導の対象となります。指導を受けても改善が見られない場合は、改善命令が発せられる可能性があります。義務化の規定に違反した場合は最大100万円の罰金が課される規定もあり、法的なペナルティとして軽視できません。

努力義務については直接の罰則はないものの、行政指導を繰り返し受けることで業者としての信頼性が損なわれるリスクがあります。また今後の法改正で努力義務が義務化される動きも予想されるため、早期から対応の姿勢を示しておくことが賢明です。

事業停止等の可能性

実運送体制管理簿の作成・保存義務に違反した場合、国土交通大臣から事業停止などの行政処分を受ける可能性があります。事業停止は、企業の存続にかかわる重大なリスクであり、特に中小規模の運送会社にとっては経営を直撃しかねない事態です。

2025年6月の追加改正では、無許可業者等への運送委託が新たに罰則の対象に加えられました。委託先の許可・届出状況を確認せずに仕事を回した場合も違反となるため、下請け先の適格性チェックを定期的に行う体制の構築が欠かせません。

取引停止の信用リスク

法律上のペナルティにとどまらず、コンプライアンス違反が取引先に知られることで取引停止や契約解除につながるリスクも無視できません。荷主企業がサプライチェーン全体のコンプライアンス管理を強化する傾向が強まる中、法令を遵守していない運送事業者は荷主企業から取引停止される可能性があります

また、軽貨物事業者の事故情報や安全確保命令に関する情報が国土交通省により公表される仕組みも新設されました。公表された情報はインターネット上で広く拡散する可能性があり、一度失墜した信用を取り戻すことは容易ではありません。

 貨物自動車運送事業法改正に関するFAQ

読者の方から多く寄せられる疑問について、Q&A形式でわかりやすく回答します。あらためて、ポイントを押さえておきましょう。

軽貨物ドライバーも法改正の対象?

軽貨物ドライバー(貨物軽自動車運送事業者)も無関係ではありません。今回の改正では、実運送体制管理簿の規定準用や多重下請け是正の流れにより、個人事業主であっても契約内容の明確化やコンプライアンス対応が求められる場面が増えます。

特に業務委託契約や運賃水準の適正化は実務への影響が出やすいため、自分は対象外と判断せず、最新情報の確認が大切です。貨物軽自動車安全管理者の選任義務・業務記録の保存義務・重大事故の報告義務はすでに施行されており、猶予期間のある項目についても期限内に着実に対応を進めることが求められます。

いつから施行される?

改正は段階的に施行されます。主なポイントとして、2026年6月までに実運送体制管理簿の義務拡大・二次請け以内への努力義務・無許可業者への委託禁止などが施行予定です。その後、事業許可の更新制や労働者処遇の明確化・適正原価の告示などは2028年6月までに順次施行される見込みとなっています。

「まだ自分には関係ない」と先送りにしていると、気づいたときには施行済みで違反状態になっているリスクがあります。自社・自身に関係する制度がどのタイミングで適用されるかを早めに整理し、施行日を逆算した準備スケジュールを立てておくことが大切です。

努力義務は守らなくても問題ない?

努力義務だからといって無視してよいわけではありません。行政指導や実態調査の対象となる可能性があり、将来的に義務化へ強化される余地も指摘されています。また、荷主や元請との取引条件に影響するケースもあるため、実務上は「対応前提」で考えるのが安全です。

形式的な義務の有無よりも、取引継続や信用維持の観点での対応が重要になります。努力義務への対応実績は、荷主からの信頼確保や新規取引先の獲得においても差別化の材料になりうるため、むしろ積極的に取り組む姿勢を示すことが中長期的な経営戦略として有効です。

何から対応すべき?

まず優先すべきは、①契約書の書面化・内容確認、②運賃水準が適正原価を意識したものになっているかの点検、③実運送体制の把握・記録整備の3点です。特に元請・荷主との契約関係が曖昧な場合は早めの見直しが有効です。

自社の立場(元請・下請・軽貨物など)を整理したうえで、段階的に体制整備を進めていくことが現実的な対応といえるでしょう。不明点は国土交通省が公開している「改正貨物自動車運送事業法Q&A」や全日本トラック協会のガイドラインを参照しながら確認するとよいでしょう。

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