2024年1月9日

オンプレミスorクラウド?
システム導入のための徹底比較ガイド

オンプレミス

システム導入は、企業の業務効率化や競争力向上に欠かせない要素です。しかし、システム導入にはさまざまな形態があり、導入を検討する際に判断に困るという声もたびたび耳にします。その中でもオンプレミス型とクラウド型は最も一般的な導入形態と言えますが、オンプレミス型とクラウド型とはそもそもどういったものでしょうか。また、それぞれのメリットやデメリットは何でしょうか。今回は、オンプレミス型とクラウド型の特徴や違いについて解説します。


オンプレミス型とは

運送会社と荷主との話し合いのイメージ画像

オンプレミス型とは、自社でサーバーやネットワーク機器などのシステム環境を一から構築し、自社で管理運用する方法です。自社内でシステムを完結させるため、「自社運用」とも呼ばれます。オンプレミス型は、2000年以降にクラウド型が普及するまでは主流の導入形態でした。


01オンプレミス型のメリット

オンプレミス型のメリットとしては、以下の2点が挙げられます。


  • 構成を自由にカスタマイズできる
  • 必要なだけセキュリティを強化できる

①構成を自由にカスタマイズできる

オンプレミス型では、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器など、物理的なインフラストラクチャを自社のニーズに合わせて選択し、配置することが可能です。 ハードウェアの構成を完全にカスタマイズできるため、自社に応じたパフォーマンス要件を満たすことができます。


②必要なだけセキュリティを強化できる

オンプレミス型の場合、ネットワーク機器も社内で管理します。そのため、社内で適切に管理すれば、外部ネットワークを介した情報の漏えいを防ぐことができます。特に、多くの個人情報や機密情報を集約している企業では、高いセキュリティが求められます。 必要なだけセキュリティを強化でき、自社で管理できるのは大きなメリットと言えます。


02オンプレミス型のデメリット

逆に、オンプレミス型のデメリットとしては以下の3点が挙げられます。


  • 初期コストが高い
  • 専門的な知識を要する
  • 利用開始までに時間がかかる

①初期コストが高い

オンプレミス型は、サーバー機器本体の価格で数十万~数百万ほどかかるなどハードウェアの初期費用がかさむため、自社の予算を圧迫する可能性があります。

②専門的な知識を要する

オンプレミス型では、運用後の障害やトラブルにも自社で対処する必要があります。 そのほかにもシステムの更新やメンテナンスを定期的に行う必要があり、企業のリソースに予期せぬ負担をかけてしまうこともあるでしょう。
また、スマホなどを使って社外からアクセスするには、VPN接続などの複雑な設定も必要です。 ITに詳しくない従業員が多い企業にとっては、オンプレミス型を使い続けるのは困難であり、 システム会社からのサポートを検討することも必要になります。


③利用開始までに時間がかかる

オンプレミス型では、サーバーの購入から設定、テスト、運用環境への移行まで多くの工程が必要となります。特に大規模なシステムの場合、数週間から数ヶ月にわたる場合があります。 すぐにシステムを運用したい場合には適していません。


クラウド型とは

一方、クラウド型とは自社でサーバーを用意することなく、インターネットを介してシステムを使う仕組みです。オンプレミス型とは異なり、サーバー等の機器を用意する必要はなく、比較的スムーズにシステムの運用を開始できます。 クラウド型の普及以降、従来のオンプレミス型に代わって一般化しつつあり、多くの企業によってさまざまなクラウドシステムが提供されています。



01クラウド型のメリット

クラウド型のメリットとしては、以下の4点が挙げられます。


  • 初期コストが低い
  • 社外からもアクセスできる
  • サービス内容や規模の変更が容易
  • 人的負担の削減

①初期コストが低い

クラウド型の場合、サーバーを用意しなくてもシステムを利用できるので、初期費用を抑えることができます。 ただし、運用コストとしてシステムの利用料金が発生します(月額費用はオンプレミス型より高くなるのが一般的)。


②社外からもアクセスできる

クラウド型は、インターネット環境があれば社外からもアクセス可能です。また、スマホやタブレットなどのデバイスでも簡単に利用できます。営業や現場仕事、リモートワークなど、社外での作業が多い仕事では、場所を問わずに使えるクラウド型がおすすめです。


③サービス内容や規模の変更が容易

クラウドサービスでは、サービス内容や使用規模の変更が容易に行えます。企業のニーズや事業の成長に応じて、必要なリソースを迅速に増減させることができるため、柔軟な運用が可能です。 また、新しい機能やアップデートが頻繁に提供されるため、常に最新の技術を活用しながらビジネスを展開することができます。


④人的負担の削減

クラウド型は専門知識が不要で、非IT企業でも安心して情報を管理できます。 また、システムを自社開発する必要がないため、人的リソースを割かなくてもよく、導入後比較的すぐに利用できるのも特徴です。


02クラウド型のデメリット

クラウド型のデメリットとしては、以下の3点が挙げられます。


  • カスタマイズは出来ない場合が多い
  • セキュリティの安全性が低い
  • 総コストが高くなる場合も

①カスタマイズは出来ない場合が多い

クラウド型は、システム運営会社が提供するサービスを利用するため、自社のニーズに合わせてカスタマイズすることが難しい場合があります。また、他のシステムとの連携や統合も制限されることがあります。自社独自のシステムを求める場合は、オンプレミス型のほうが適していると言えます。


②セキュリティの安全性が低い

クラウド型は、インターネットを介してシステムにアクセスするため、外部からの攻撃や情報漏えいのリスクが高まります。 また、スマートフォンやタブレットを紛失したり盗難に遭ったりすると、そのデバイスを通じてクラウド内のデータに不正にアクセスされるリスクがあります。


③総コストが高くなる場合も

クラウドサービスは初期コストが少ないものの、長期的に見ると月額料金や追加サービスのコストが積み重なって、予想以上にコストがかかることも考えられます。 クラウドサービスの導入を検討する際には、初期コストだけでなく、長期的なコストを含めた総コストを慎重に評価することが重要です。


オンプレミス型とクラウド型の比較表

オンプレミス型とクラウド型の特徴やメリット・デメリットを比較した表を以下に示します。


オンプレミス型 クラウド型
システム環境 自社で構築・管理 インターネット経由で利用
初期費用 高(サーバー等の購入必要) 低(サーバー等の購入不要)
運用費用 中(電気代・保守費用・人件費) 高(システム利用料)
導入準備期間 長(サーバー等の環境構築が必要) 短(短期間で利用可能)
カスタマイズ 対応可能 対応不可のケースが多い
セキュリティ 高(閉じたネットワーク) 中(専用の対策が必要の場合も)
アクセシビリティ 低(社内からの接続のみ) 高(どこからでもアクセス可能)
サポート 低(トラブル時には自社で対応) 高(サポート会社が対応)

システム導入にあたってはオンプレミス型とクラウド型の違いを理解した上で、自社に合った導入形態を選択する必要があります。その際には、以下のような観点で判断するとよいでしょう。


01予算やコスト

予算やコストは、システム導入における重要な要素です。オンプレミス型は、初期費用が高くなる傾向があります。 一方、クラウド型は、初期費用が低く抑えられる傾向がありますが、利用料金が長期的にかかり続けることに注意が必要です。自社の予算や長期的なコストの試算をしっかりと行い、比較検討しましょう。

02セキュリティや社員教育

システム導入において、セキュリティと社員教育は非常に重要です。オンプレミス型では、自社でシステムのセキュリティ対策を管理し、適切な防御手段を自由に設定できます。

一方で、クラウド型を利用する場合は、セキュリティ対策は主にシステム運営会社によって行われます。 クラウド環境でも社員がセキュリティ意識を持つことは重要で、例えば、強力なパスワードの使用や安全なデータ共有の方法など、基本的なセキュリティ対策を理解し実践することが求められます。

03カスタマイズや連携

カスタマイズや他サービス連携も、システム導入における重要な要素です。

オンプレミス型はハードとソフトの両面においてカスタマイズ性が高く、独自のビジネスプロセスや特定の技術要件に合わせた深いレベルのカスタマイズが可能です。 他のシステムやアプリケーションとの連携は可能ですが、これには専門知識と時間が要求されることがあります。

一方、クラウド型は、システム運営会社が提供するサービスを利用するため、カスタマイズ性が低くなりがちです。 連携については、オンプレミスと同様にAPIや標準化されたインターフェースを通じて、他のクラウドサービスやアプリケーションとの連携ができる場合がありますが、これには専門的な知識を要します。

自社の業務プロセスやニーズに応じて、カスタマイズや連携の必要性を判断しましょう。

04アクセシビリティや可用性

アクセシビリティや可用性も、システム導入における重要な要素です。オンプレミス型は、社内ネットワークからしかアクセスできない場合が多いため、アクセシビリティは低くなります。

一方、クラウド型は、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、アクセシビリティが高くなります。しかし、クラウド型の場合は、インターネットの接続状況やシステム運営会社のサービス停止などによって可用性が低下する可能性もあります。自社の業務形態や環境に応じて、アクセシビリティや可用性の重要度を判断しましょう。

05専門知識やサポート

専門知識やサポートも、システム導入における重要な要素です。

オンプレミス型は、自社でハードとソフトを構築・運用するため、ある程度の専門知識が必要になります。また、障害やトラブルに対しても自社で対処する必要があります。 自社で構築・運用が難しい場合は、システム会社に依頼することも一つの手段となります。

一方、クラウド型は、システム運営会社が提供するサービスを利用するため、専門知識が不要になります。また、障害やトラブルに対してもシステム運営会社からサポートを受けられます。

自社のITリソースや人材に応じて、専門知識やサポートの必要性を判断しましょう。

まとめ

まとめのイメージ画像

この記事では、オンプレミス型とクラウド型の特徴や違いを解説しました。 オンプレミス型とクラウド型は、それぞれメリットとデメリットがあります。 自社に合ったシステム導入方法を選ぶためには、予算やコスト、セキュリティや社員教育、カスタマイズや連携、アクセシビリティや可用性、専門知識やサポートなどの観点で判断することが重要です。システム導入は企業の成長に大きく影響することなので、慎重に検討しましょう。


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