2025年12月16日

物流業界の人手不足はなぜ深刻化しているのか?
人手不足を解消する7つの施策を解説!

トラックの画像

物流業界は、社会のあらゆる産業を支える「縁の下の力持ち」といえる存在です。しかし近年、この業界では深刻な人手不足が続いており、運送・倉庫・配送といった現場の機能維持が難しくなりつつあります。

特にEC市場の拡大や24時間配送へのニーズ増加により、需要は年々高まっている一方で、担い手は減少傾向にあります。この状況が続けば、物資の流通が滞り、消費者や企業双方に大きな影響を及ぼすリスクが高まるばかりです。

本記事では、物流業界における人手不足の背景と、その問題を解決するための実践的な施策について解説していきます。


 

物流業界の人手不足はなぜ深刻化しているのか?

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物流業界の人手不足は、単に労働人口が減っているというだけでなく、業界全体の構造や労働環境が複雑に関係しています。特にドライバーの高齢化や若手の業界離れ、 倉庫作業員の確保難、長時間労働・低賃金といった課題が重なっており、根本的な改善が求められています。

以下では、特に深刻な要因である「ドライバーの高齢化」「倉庫作業員の採用難」「長時間労働・低賃金構造」の3点を詳しく見ていきましょう。


01ドライバー高齢化

物流業界の人手不足の中でも、最も深刻な要因とされるのが「ドライバーの高齢化」です。国土交通省の調査によると、トラックドライバーの平均年齢はおよそ50歳前後とされており、 20代・30代の若手が極めて少ないのが現状です。定年退職者の増加に対して、新たな担い手が十分に育っていないため、慢性的な人手不足が続いています。

その背景には、長時間運転や不規則な勤務時間、過酷な労働環境があります。燃料費高騰や運賃の低価格競争によって企業の利益率も低下し、ドライバーへの十分な賃金還元が難しい状況となっているのです。 この結果、「仕事がきつい割に報われない」と感じる若者が業界に入ってこないという悪循環が生まれています。

こうした背景に加え、「2024年問題」によって時間外労働の規制が強化されたことで、1人あたりの稼働時間が減少し、輸送量の確保が難しくなりました。物流企業は納期遵守のためにさらに多くの人手を必要とするという矛盾を抱えることになったのです。 今後は自動運転技術の導入や輸送ルートの最適化など、テクノロジーを活用した新たな取り組みが求められています。

02倉庫内作業に従事できる人材の採用の困難さ

ドライバー不足と並んで深刻化しているのが、倉庫内での仕分け・ピッキング・梱包などを担当する人材の採用難です。近年はEC市場の拡大によって倉庫業務量が増加しており、繁忙期には一時的に人材派遣やアルバイトに頼るケースも多くなっています。 しかし、慢性的な人員不足が続いており、特に中小の物流会社では即戦力の確保が難しいのが実情です。

倉庫内作業は体力的な負担が大きく、空調が不十分な現場では夏場の暑さや冬場の寒さも厳しい環境となります。勤務時間が夜間や早朝に及ぶことも多く、家庭やプライベートとの両立がしにくいという課題もあり、 物流業界や運転手という職業そのものが若年層から敬遠されやすく、労働条件が良い他業種へと人材が流れてしまう傾向も現実的な問題の1つです。

物流業界全体で賃金水準が上がりにくい構造にあることも採用難を加速させています。人手が足りない状態では既存スタッフの負担が増し、離職率が高まるという悪循環に陥っているのです。 こうした現場では、ミスや事故の発生リスクも上昇し、結果として業務全体の効率も下がってしまいます。

03長時間労働・低賃金の構造的課題

物流業界の人手不足を語る上で欠かせないのが、「長時間労働と低賃金」という構造的な問題です。トラックドライバーや倉庫スタッフの多くは、需要に応じて柔軟に対応しなければならず、繁忙期には休暇の取得が難しいのが現状です。 配送先の制約や交通事情により拘束時間が長くなりがちで、「実働時間は長いのに報酬が見合わない」と感じる従業員も少なくありません

このような労働環境が続けば、当然ながら離職率が上がり、若手の参入も減少します。結果として残った人員の負担がさらに増し、業務効率が低下するという悪循環が生まれます。 特に中小規模の物流企業では取引先からのコスト圧力が強く、運賃を引き上げることが難しいため、賃金改善に踏み切れないケースも多いのです。

物流現場では「現場力=人手」と捉えられてきた文化が根強く、テクノロジー導入や労働環境の見直しが遅れていることも問題視されている大きな要素です。2024年問題による労働時間の上限規制が導入された今こそ、 業界全体で効率化と待遇改善の両立を目指す必要があります。

物流業界の人手不足がもたらす影響とは?

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物流業界では、2024年4月から施行された「働き方改革関連法」による時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)が大きな転機となっています。この変化によって、従来無理して維持してきた輸送スケジュールや人員配置が立ち行かなくなり、 業界全体で“余裕のない運営”を強いられるようになりました。

そんな中、特に影響が顕在化しやすいと考えられているのが以下の点になります。

  • サービスの品質劣化
  • コストの増加
  • 業務の安全性低下
  • 若者の物流業界への参入率悪化
  • 業界全体の技術革新・イノベーション導入の鈍化

最も顕著なのは、サービス品質の劣化リスクです。従業員あたりの業務負荷が高まり、配送遅延や誤配送が増える可能性が高まります。 搬送ルートやピッキング・梱包の工程でも時間的な余裕が少なくなることで、ヒューマンエラーが起こりやすくなるというわけです。

次に、コスト構造の悪化があり、人手を補うために派遣やアルバイトの活用が増えると、それに伴い人件費が上がる傾向があります。 労働時間制限に対応するためには社員数の増加やシフト調整が必要となり、その分の固定費やマネジメントコストも嵩むでしょう。

長期的には、業界の魅力低下と人材供給の停滞が進行します。若年層は、過酷な労働環境や不透明な将来性を理由に物流業界への志望を避けがちです。 こうした傾向が続くと、労働力人口の減少というマクロな流れとも相まって、将来的な人材枯渇につながり、安全性・事故リスクも無視できない領域に入ってしまいかねません。

人手が足りない状態では技術導入・業務効率化投資が後手に回ることもあるでしょう。自動化・AI・ロボット導入は、むしろ人手余裕のある企業でないとリスクを取れないため、 人手不足企業は新技術の導入をためらいがちです。これによって、業界全体の旧態依然化が進む可能性もあるのです。

物流業界の人手不足は単なる「人が足りない」問題にとどまらず、サービス品質、コスト、安全性、将来性、技術革新など多方面にわたる影響を及ぼしうる重大テーマなのです。

物流業界の人手不足を解消する7つの施策を解説!

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物流業界の人手不足は長年の課題であり、ドライバーや倉庫作業員の高齢化、若年層の参入不足、長時間労働や低賃金といった構造的な問題が重なっていることをご説明してきました。 このままでは、配送遅延や事故リスクの増加、業務効率の低下など多方面に悪影響が及ぶリスクを払拭できません。

そこで、業界全体で取り組むべき施策が求められています。本章では、物流業界の人手不足解消に効果的とされる7つの具体的施策について詳しく解説します。

01モーダルシフトの推進をする

物流業界で人手不足の影響を抑えるために最も有効とされる施策のひとつが「モーダルシフト」です。これは、トラック輸送中心の物流を、鉄道や船舶など別の輸送手段に切り替えることで、 ドライバー不足の影響を軽減し、輸送効率を向上させる取り組みです。

▼モーダルシフトの流れ

①メーカー→②転換拠点→③転換拠点→届け先

特に長距離輸送ではトラックに頼り続けると人手負荷が増大するため、鉄道貨物や船便の活用が効果的とされています。モーダルシフトは輸送効率だけでなく、CO₂削減や環境負荷軽減にも寄与する点で国の支援対象ともなっています。

導入にあたっては、輸送ルートや荷物量の分析、物流センター間の連携強化が不可欠です。既存の輸送フローに無理なく新しいモードを組み込むことで、現場負荷を大幅に軽減できます。モーダルシフトは単なる輸送手段の変更ではなく、 企業全体の物流戦略の再構築を伴うため、長期的に見て業務効率化と人材確保の両立につながるのが大きな特徴です。

02物流DX・管理システムで業務効率を高める

人手不足対策として注目されるもう一つの施策が「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」の導入です。AIやIoT、管理システムを活用して、配車や在庫管理、入出荷作業などの物流業務を効率化することで、従業員の負担を大幅に軽減できます。

具体的な例としては、AIによるルート最適化で運行距離や時間を削減したり、IoTで車両位置や荷物状況をリアルタイムに把握したりすることが可能です。 従来は人手で行っていた調整作業や確認作業が自動化され、ミスや遅延リスクも減少させられるのです。

管理システムの導入は単なる効率化にとどまらず、労務環境の改善にもつながります。残業時間の削減や業務の「見える化」により、従業員の負荷を適正化できるのです。

物流DXの推進は人手不足を根本的に緩和する手段として非常に有効であり、データ活用による予測や分析が可能になることで、物流戦略の精度も高まり、無理のないシフト計画や効率的な在庫管理につなげられるでしょう。

     

03自動化設備・ロボット導入による省人化を行う

物流業界での人手不足を解消するためには、自動化設備やロボットの導入が効果的です。倉庫内のピッキングや仕分け、梱包作業は、多くの労働力を必要とする一方で、作業自体は反復的で自動化が可能な業務が多く含まれています。

そこで、自動倉庫や搬送ロボット、AIによるピッキング支援システムを導入することで、作業時間を大幅に短縮し、少人数での運営が可能になります。特に繁忙期には、人手不足による業務停滞や残業増加を防ぐ効果が期待できるでしょう。

ロボット導入は単に作業効率を上げるだけでなく、従業員の負担軽減にも直結します。重量物の搬送や高所作業など、身体的負荷が大きい業務をロボットに任せることで、怪我や事故のリスクを減らせるのです。 作業の正確性や品質が向上するため、ミスによる返品やクレームも抑制できます。

ただし、自動化設備導入には初期コストや運用ノウハウが必要になるため、導入計画を立てる際には既存の業務フローとの整合性や将来的な拡張性を考慮することが求められます。長期的に見ると、設備投資による省人化は人手不足対策として非常に有効であり、物流業務全体の効率化を加速させる戦略的手段となるでしょう。

04働きやすい職場づくりと労務環境の最適化を行う

物流業界の人手不足を根本から改善するには、働きやすい職場環境の整備が欠かせません。長時間労働や低賃金、休暇が取りにくい環境では、せっかく入社した人材もすぐに離職してしまう可能性が高く、採用コストが無駄になるだけでなく、業務効率にも悪影響を与えてしまいます。

そこで、労働時間の適正化や休暇取得の促進、給与・手当の見直しなど、従業員が安心して働ける環境を作ることが重要です。具体的には、シフトの柔軟化や夜勤・早朝勤務の負担軽減、産休・育休の取得支援、福利厚生の充実などが挙げられます。

業務内容の明確化や教育体制の整備により、誰でもスムーズに作業を行える職場づくりも効果的です。従業員が安心して働ける環境は、離職率の低下だけでなく、採用時の応募者数増加にもつながります。

従業員の声を反映した職場改善も有効です。現場の意見を取り入れることで、業務負荷の偏りや改善点を把握しやすくなり、効率化や安全対策の精度も向上します。 企業側も少ない人手でも安定した業務運営が可能になり、人手不足問題を根本から緩和できるのです。

05複数企業での共同配送体制を構築する

物流業界の人手不足を補う有効な手段の一つが、複数企業による共同配送体制の構築です。複数の企業が配送ルートや荷物を共有することで、個別企業が抱えるドライバー不足や輸送効率の課題を相互に補完できます。

同じエリアに配送先を持つ企業がいれば、協力して荷物をまとめて運ぶことで走行距離や運行回数を削減し、限られた人員でより多くの配送をこなせるようになります。こうすれば、過密なスケジュールや残業の削減にもつながるのです。

共同配送はコスト面でもメリットがあります。輸送効率が向上することで燃料費や車両維持費が低減され、単価の低い小口配送でも収益性を確保しやすくなるのです。共同配送を導入すれば、余剰車両や人員を有効活用できるため、 新たな採用を急ぐ必要も減り全体的な人手不足の圧力を軽減できます。

ただし、共同配送の運用にはルール整備や情報共有の仕組みが欠かせません。配送スケジュールや荷物情報をリアルタイムで管理できるシステムを導入し、各企業間で責任範囲を明確化することで、 トラブルや納期遅延のリスクを最小化できるでしょう。

06多様な人材採用と人材派遣サービスの活用をする

物流業界の人手不足を解消するには、採用戦略の多様化も欠かせません。従来の正社員中心の採用に加え、パートタイム、契約社員、外国人労働者、高齢者など、多様な人材の活用を進めることが重要です。 特に倉庫作業や短時間勤務の配送業務では、柔軟な働き方を提供することで、従来の採用ターゲット層に加えて、新たな人材層を確保できます。

人材派遣サービスの活用も効果的です。繁忙期や一時的な配送量増加に応じて派遣スタッフを活用することで、正社員の負担を増やさずに業務量の変動に対応可能です。

派遣スタッフには、教育や研修制度を整備することで即戦力化し、作業の正確性や効率も維持できます。慢性的な人手不足の影響を短期的に緩和しつつ、長期的には採用計画と組み合わせて安定した人材体制を構築できる対策となるでしょう。

採用活動自体も、デジタル化や求人媒体の活用を通じて効率化することが望ましいです。SNSや求人プラットフォームを通じて応募者を増やすことで、従来の採用手法では届きにくかった層へのアプローチが可能となります。

07専門物流会社への業務委託で効率化を図る

物流業務を専門会社に委託することは、人手不足解消と業務効率化を同時に実現できる重要な施策です。

専門物流会社は、豊富な人材と効率的な配送ノウハウを持っており、自社だけで運営する場合と比べて、コストや時間を最適化できます。特に配送量が変動するEC物流や小口配送などでは、 委託によって必要なタイミングで人材を確保できるため、繁忙期の業務負荷を大幅に軽減できます。

委託によって、自社の従業員は管理業務や付加価値の高い業務に専念できる点も大きいです。在庫管理やルート計画、顧客対応などに注力することで、業務全体の効率と品質を向上させられます。専門会社は物流システムや自動化設備をすでに導入しているケースが多く、 最新技術の恩恵を自社で大規模投資することなく受けられる点も大きなメリットです。

委託先選定の際は、信頼性や実績、サービス品質の確認が欠かせません。配送遅延や事故リスクを最小化するために、契約内容や運用ルールを明確化し、定期的な情報共有や改善策の実施が必要です。 専門物流会社への業務委託は、戦略的に活用することで、人手不足の影響を最小限に抑えつつ、安全性と効率性の高い物流体制を構築できる有効な手段と言えます。

物流DXの推進は株式会社コモンコムへ

まとめのイメージ画像

物流業界の人手不足対策には、効率化と自動化、労務環境改善、専門委託など複合的な施策が欠かせません。 こうした企業の現場に即した取り組みを支援するのが、株式会社コモンコムです。

コモンコムは、物流DXの導入支援や自動化システムの提案、効率的な管理システムの構築など、企業の物流課題を総合的にサポートしています。現場負担の軽減や業務効率化を実現しながら、人手不足問題に対応できる体制づくりを支援するため、物流企業が安心して成長できる環境を提供しています。

詳細は公式サイトで確認可能ですので、物流DXの推進や効率化を図りたい方はぜひご覧ください。




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